小さい頃から、母しか結婚指輪をつけておらず、父が指輪をつけているところを見たことがありませんでした。私がアイプリモに入社して6年が経った頃、急に父から「お母さんにプレゼントしたいから指輪を選んで欲しい」と相談されました。可愛すぎず、品があって、指にコンプレックスをもつ母でも似合いそうな「オーロラ」という指輪を選びました。寡黙な父からの母へのサプライズは大成功!しかし、わずかその数ヶ月後、父の病気が発覚したのです。
闘病中、徐々に痩せ細っていく父を励ましたいと、今度は娘の私が父へのサプライズを決行。以前父が母にプレゼントした「オーロラ」のペアとなる指輪をプレゼントしました。そのとき初めて、両親が揃って指輪をしている姿を見ることができました。
闘病中も父は、お守りのようにその指輪を外そうとしませんでした。痩せてしまっても、指輪をなくさないようにと、薬指から中指へと移して最期までつけ続けてくれたのです。
父が他界した今も、母は父からもらった指輪を大切につけています。リビングで父と母が新婚のようにお揃いの指輪をつけて撮った写真は私の宝物ですし、「オーロラ」を見るたびに切なく、温かく、夫婦の愛を形にしたものが指輪なんだと、この仕事を誇りに思うのです。
(山形県 H.Aさん)