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披露宴のクライマックスといえば、新婦が両親への思いを綴った手紙を読み上げる「花嫁の手紙」。今回は「両親への手紙」の意義や内容、読み方のポイントをご紹介します。
披露宴のクライマックスといえば、新婦が両親への思いを綴った手紙を読み上げる「花嫁の手紙」。友人の結婚式などに出席し、幼い頃の思い出を語る新婦の姿に思わずもらい泣きしてしまった人も多いのではないでしょうか。見ている側はつい期待をしてしまう、披露宴いちばんの感動の場面。ところが、当の本人としては「緊張する」「恥ずかしい」と、気乗りしない人もいることでしょう。なかには、「そもそも、どうして人前で両親への思いを語らなければならないのか」という疑問を持っている人もいるかもしれません。そこで、今回は「両親への手紙」の意義や内容、読み方のポイントをご紹介します
かつて、日本の結婚式では新婦の多くが自宅で支度をし、両親の前で正座に三つ指をついて「お世話になりました」と挨拶をして実家を後にしていました。それが70年代以降、自宅ではなく、ホテルや式場の美容室での支度が当たり前に。式の前にきちんと両親に挨拶をする場面が急激に減る中で、1980年頃に登場したのが両親へ感謝の手紙を読み、そして花束贈呈をする演出です。ここまで育ててくれた両親への感謝の気持ちを自分の言葉で伝え、挨拶をする場が自宅から披露宴という公の場へと変わっていったのです。
最近では、結婚を控えた年代の多くが、実家を離れて親に会うのは年に数回、あるいは会話などのやりとりはメールやLINEがメインといった状況にあります。普段、親子が顔を合わせる機会が減っているのなら、なおのこと、披露宴の演出として両親に感謝を伝えることは逆によいきっかけになるのではないでしょうか。
では、「両親への手紙」は具体的にどんな内容を書けばよいのでしょうか。
印象深い手紙や文章を書く際のポイントは、現在・過去・未来の順番で構成することです。まず書き出しは、両親への手紙を書こうとしている今の正直な気持ちを綴るところからはじめてみましょう。
「昔から私は口下手で、お父さんお母さんに感謝の気持ちを伝えることが苦手でした。でも、今日は今までの“ありがとう”の思いを言葉にしてみようと思います」
列席者が思わず耳も心も傾けたくなる、素直な思いがシンプルに伝わるこんな一文からはじめてみるのもひとつです。
次に過去の思い出を綴ります。ここでは、ご両親をはじめ、ご家族一人ひとりとの思い出に触れるのもよいでしょう。さらに、それぞれの思い出に、「感謝」「謝罪」「尊敬」といったそれぞれに対する思いを語りかけるように添えます。
「お母さん。仕事で忙しいのに部活の朝練のときには欠かさず焼いてくれた玉子焼き。お母さんのあの玉子焼きがあったから、試合でも頑張れたんだと思う。本当にありがとう」
「お父さん。門限も厳しくて、ついつい反抗してしまうことが多かった学生時代。あのときはごめんなさい。今になって、私のことを心から心配してくれるお父さんという存在のありがたさに気付いたよ。大切に思っていてくれてありがとう」
「お姉ちゃん。小さい頃からいつもまとわりつくようにそばにいる私の面倒を見てくれて、いつでも、誰にでも優しいお姉ちゃんをずっと尊敬していました。私の自慢のお姉ちゃんでいてくれてありがとう」
過去のエピソードはそれぞれの人柄を象徴するような出来事ひとつに絞ることがポイントです。「あのときはありがとう」「あのときはごめんね」「やっぱりお父さん、お母さんはすごいと思う」と、内容はシンプルでかまいません。「あのときは言えなかったけれど、今、言わせてね」。そんな流れを意識してください。
そして、最後は「私はこれから、○○さんと一緒に、お父さんとお母さんのようないつでも笑顔の絶えない家庭を築いていくつもりです。どうか見守っていてくださいね」など、これからの結婚生活についての決意を語ってください。
さらに、忘れてはならないのが新郎のご両親に対する言葉です。
「○○さんのお父さん、お母さん。ふつつかな私を受け入れてくれて本当にありがとうございます。至らないこともたくさんありますが、どうぞこれからいろんなことを教えてください」など、新郎の両親に配慮した感謝の言葉で締めくくりましょう。
文字数は800字程度がベスト。朗読時間は3分を目安にしましょう。また、便箋が小さいと、枚数が増えて実際に読むときに、紙をめくる回数が増えて読みにくくなります。サイズは大きめで、罫線の間隔も広めのシンプルな便箋を選ぶのもポイントです。
Q.手紙でNGな内容は?
・家族や新郎、身内に対してなどの不平や不満
・他の人には分からない身内ネタ
・非行や犯罪行為の暴露
正直な思いを綴るといっても、結婚式というせっかくの晴れの日です。不平や不満などネガティブな内容は避けて、“感謝の気持ちを伝える”という目的に徹した内容を心がけましょう。また、いくら家族に向けた手紙とはいえ、身内ネタすぎると多くの列席者は意味が分からず置いてきぼり状態に。聞いている多くの人にとって分かりやすく、共感できる内容にするのも大切な心配りです。そして、ついエピソードとして語りたくなる“若気の至り”にも要注意。自分にとっては“時効”だと思っていても、始めて聞く人にとっては驚き、失望させる要因になりかねません。本人の品格や信頼に関わることだけに十分な注意を払いましょう。
感情に任せて書いた手紙で失敗しないためにも、手紙は1~2週間前から書きはじめ、書き終わったら一晩寝かせて、翌日の朝にもう一度読み返すなど熟考することが大切です。そして、式までの期間に声に出して読んでみて、読みにくい箇所を書きかえるなど、準備は万全に整えておきましょう。
Q.両親の呼び方はパパ、ママではダメ?
本来ならば「お父さん、お母さん」といった呼び方がベストです。ただし、“肩肘張らないアットホームなパーティ”といった趣旨があるのなら、「パパ、ママ」など、ふだんの呼び方でもかまいません。ただし、その際には、手紙を読みはじめる前に「いつもと同じように、パパ、ママと呼ばせていただくことをお許しください」と、列席者に向けて断りを入れましょう。
Q.手紙を読むときの注意点は?
本来ならば「お父さん、お母さん」といった呼び方がベストです。ただし、“肩肘張らないアットホームなパーティ”といった趣旨があるのなら、「パパ、ママ」など、ふだんの呼び方でもかまいません。ただし、その際には、手紙を読みはじめる前に「いつもと同じように、パパ、ママと呼ばせていただくことをお許しください」と、列席者に向けて断りを入れましょう。
Q.それでも、やっぱり人前で読むのは嫌…
例えば、花束贈呈の前に流すVTRを用意するというのはどうでしょう。家族との思い出の写真とともに、手紙の内容を文字として流すのです。他には、両親に花束を渡すときに、司会者から「新婦の○○さんはご両親にこんな手紙をお書きになりました…」と、その内容を読み上げてもらう方法もあります。BGMの代わりに読み上げられる手紙の内容と両親に花束を渡す姿が重ね合わさり、感動的なシーンとなることでしょう。
披露宴で読まれる「両親への手紙」には、これまでの思いを伝えるという役割のほかに、もうひとつ重要な役割があります。それは、両親が子育てという大役に終止符を打つ儀式的なものとなることです。両親にとって結婚式は、新たな家庭を作り上げる我が子を見送り、再び夫婦としてふたりで向き合いながら人生の次なるステージへと歩んでいく節目のとき。つまり、親にとって、我が子が書いた「両親への手紙」は、「子育ての卒業証書」とも言えるのです。
自分を産み、育ててくれた両親に渡す、子育ての卒業証書。そんなことをイメージしながら手紙を読み、自らの手でご両親へ手渡してみてはいかがでしょうか。
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